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Dragon's nest

Dragon's nest

二十話「no title」

「何か…最近、ステアさんめっきり腕上げましたね…」
「だな。あんな事とかしてなかったんだが、最近は良く手合わせしてるな…」
手合わせをするアシュタルとステアの二人をコケットとツバキは見た。
その時、コケットの側で寝ていたアルプががばっ!と起き上がった。
「アルプ…?」
コケットが不思議そうに首を傾げる。
「きゅーっ!ぎいっ!ぎいぃっ!!」
突然、アルプは警戒するような、そんな声を上げた。
その声に、ステアはアシュタルと手合わせしていた手を止め、叫んだ。
「ミンナ、モンスターが来る!アルプが言ってル!!」
その声に、ツバキやアシュタルはそれぞれの武器を構えた。
暫くして…森を揺るがすかのような足音と共に、木々をへし折って現れたのは…ドラゴン。
一頭や二頭ではない。少なく見ても、5頭。
「でけ…っ!」
ツバキがそう、言葉を漏らす。
ステアとアシュタルは自然とコケットとアルプを中心にツバキとリーフの周りに円陣を組んだ。
「皆、気をツケテ。コノドラゴン、凄く気性が荒イ…集マッテルト、一斉に周リカラ来る…ダカラ…」
「5対4じゃ不利って事か…あと一人居ればな…」
そう、言ったアシュタルにリーフが呟いた。
「大丈夫だ。一人来る…」
「エ?」
ステアが不思議そうな声を上げた瞬間、ステアとアシュタルの前に見覚えのある姿が。
「お久し振りです…皆様。」
「レイト?」
「はい。ご苦労なさりそうなので、多少ながら加勢にまいりました。」
ドラゴン達が一斉に咆哮を上げる。
その中の一匹がアシュタル達の円陣目掛けて爪を振りかざす。
アシュタルとステア、ツバキとリーフ、コケットとアルプを抱えたレイトが一斉にそれぞれの方向に散った。
ドラゴンもそれぞれの組を追う。
アシュタルとステアの方に二匹。ツバキとリーフの方に二匹。レイトとコケット、アルプの方に一匹。
パーティが散って数時間後…ぽつりぽつりと曇りだした空から雨が降り始めた…

二十一話―1。
『光よ。光の使者、精霊よ。優しき光、今より我に仇なす者を敵とみなせ…』
ステアが空中に紋章を描く。
そのステアと背中合わせでアシュタルも詠唱を始める。
『轟く黒雷、その手を以て我は敵を悉く殲滅せん!汝が名、我が名において、雷を刃と成し、我に力を示せ!!』
アシュタルの詠唱が終わる。
それと同時にステアの詠唱も終わった。
『その躯を射抜け!』
『ライツアロー!』
『神鳴の魁!!《しんめいのさきがけ》』
光の槍と雷の剣がそれぞれのドラゴンを貫く。
だが、攻撃を受けても、ドラゴンの動きが止まる事は無い。
アシュタルは軽く舌打ちをすると、レイクエスを上段に構えた。
……その頃のリーフ達はと言うと……
爆発音。その後に、銃声が響き、次に何かが倒れる地響き。
「一匹、撃破…!」
ダンッ!と倒れた龍の尾を踏みつけるツバキ。
息は荒く、頭から血を流してはいたが、それ以外の怪我はなさそうだった。
流石は長年ハンターをやっている所為か。
ふと、もう一匹を相手しているリーフにツバキは目をやると、丁度リーフがドラゴンの片目を射抜いた瞬間だった。
苦しげな悲鳴を上げ、目を掻くドラゴン。
その隙を突き、リーフは目を閉じると、詠唱に入る。
それを見て、ツバキはすぐさまリーフのバックアップに入った。
『虚(うろ)に続く風道(ふうどう)に汝を誘わん…』
リーフの周りに風が集まり、緑の魔方陣が足元に現れた。
歌うようにリーフが言霊を紡ぐ。
『…空の狭間にその身を喰らわせよ!我に仕えし精霊の真名により、風刃に散れ!!』
うっすらと目を開くリーフ。
『ティアシュ・ツウェルム!』
幾つものかまいたちがドラゴンの身を裂き、一つ一つが小さかったかまいたちがやがて渦を巻き、巨大な竜巻になる。
巨大な竜巻は重量があるであろうドラゴンを易々と上空に巻き上げる。
……しばらくして、空に舞い上がったドラゴンが地上へと落ちてきた。
地響きと砂埃。
それが収まった頃には、体中に無数の傷を負い、絶命したドラゴンの亡骸。
それを確認し、リーフは溜息をついた。
突如、離れた所に雷が落ちた。
「…あれは…」
ふい。と見たリーフにツバキが言った。
「アシュタルだろうな。」
むっ。とリーフが眉をひそめた。
「貴様に言われなくとも、感づいている。」
「…素直じゃねぇな。」
クツクツと笑うツバキを横目で見たリーフは荷物の中から小さなボトルを取り出すと、その中身を飲み干した。
しゅう。と負った怪我が見る間に塞がる。
「……飲んでおけ。」
同様のボトルを、リーフはツバキに渡す。
「ん…?あぁ。」
「先にステア達のところに向かってるからな。」
たんっ!と枝を蹴り、リーフは先程雷が落ちた場所へと先に向かった。
人前じゃマスクを外さないツバキをリーフも何かしら気遣っての事だった。


補足:ステアは最初にちゃんと技の詠唱をしていれば後は詠唱破棄出来ます。
アシュタルの技発動詠唱は某、B●EA●Hの鬼道みたいに、言葉を紡ぎ合せて発動させるパターン。
勿論、ステアと同じように最初に詠唱していれば後は詠唱破棄出来ます。
…今見たら、ホント鬼道と同じカンジですね;;;
詠唱提供、狐樹クン、ほんまおおきになw

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